日本歯科保存学会が2015年に発表した『う蝕治療ガイドライン第2版』では、さまざまなCQ(クリニカル・クエスチョン)に対して現時点での日本歯科保存学会の立場が明確に示されている。そのガイドラインのCQのなかから、今回の記事では「咬合面う蝕の診断にはどの検査法が有効か?」「隣接面う蝕の診断にはどの検査法が有効か?」という2つの疑問について解説をしていこう。

① 咬合面う蝕の診断に有効な検査法

咬合面う蝕の診断方法について、日本歯科保存学会のう蝕治療ガイドラインで示されている現在の立場は、以下の通りだ。

う窩の形成がある場合は視診や触診は有効である。いわゆる hidden cariesのようなう窩の形成がない場合はエックス線検査を併用することが必須である(エビデンスレベル「I」/ 推奨の強さ「A」)。

hidden caries(不顕性う蝕)は、一般的に「隠れう蝕」とも言われる。肉眼による視診や触診ではう蝕は見つけられないが、エックス線画像上で明らかに透過像があり脱灰しているう蝕のことをいう。

現時点で、日本歯科保存学会は、ある程度のう蝕は肉眼による視診や探針やデンタルフロスなどを用いた触診で発見できるとしている。これは日常の臨床を振り返ってみても実感できることだろう。それに加え、hidden cariesのようなう蝕は視診や触診で発見できないため、エックス線検査を併用することが必須であるとの立場が、エビデンスに基づいた診療にとって重要であると提唱している。

② 隣接面う蝕の診断に有効な検査法

次に、咬合面う蝕ではなく隣接面う蝕の診断に有効な治療法はなにか。日本歯科保存学会は、咬合面う蝕と同様に、下記の立場を明確にしている。

う窩の形成がある場合は視診や触診は有効である。う窩の形成がない場合はエックス線検査あるいは透照診が有効である(エビデンスレベル「I」/ 推奨の強さ「A」)。

隣接面う蝕の場合も、視診や触診、エックス線検査は有効であるとのエビデンスが示されている。隣接面う蝕の診断ではそれに加え、透照診もエビデンスのある診断方法として示されている。

エビデンスに基づいた切削介入を

永久歯咬合面のhidden cariesや、永久歯隣接面の初期う蝕の診断は、臨床家の先生方にとっても困難なことが多く、歯科医師間でのバラつきがあるとされている。今回の記事で紹介した2つの診断方法は、臨床家の先生にとって非常に当然のことであるが、切削介入の判断の拠り所として、う蝕治療ガイドラインを、今後も参照して診療に役立てて頂きたい。

参考文献

  1. 日本歯科保存学会『う蝕治療ガイドライン 第2版』, 2015.